【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第47章 黒い猫の歌 ☆
一体今まで何人の人を殺してきたの…
きっとわたしが今日制圧したやつらも、この男にそのうち殺される。
どうせ殺されるんなら、わたしの手で殺してあげた方が幸せだったかもね…
殺されずに済んだと言う安堵から翌日訪れる死の恐怖。
かわいそう。なんて残酷。
じ…っとジンの顔を見ていると、その視線に気づいたジンはわたしに銃を向けた。
「何だ」
突然、男が女に銃を突きつけているわけだから、バーのマスターは驚いて声を上げながら後退りをしている。
わたしはそんな状況に一切動じず、なんならこれはチャンスと思った。
「…あなたなら、わたしのこと、殺してくれる?」
じっと目を見て真剣な顔してそう言うと、ジンは少しだけ目を見開いた。
やばい女だと思っただろう。
けれど、止めて欲しいの。
誰でもいいからこんな戦闘用に作られたロボットみたいなわたしを止めて欲しい。
「悪いが、殺してくれと言われると、殺したくなくなる性分なんだ。」
「…ずいぶん偏屈なんだね」
わたしが少し笑うと、ジンは銃口を下げ、コートの内側にしまった。
「気に入った。」
ジンは一言だけそう言うと、次の瞬間わたしの唇を奪った。
容赦なく入られる舌を、わたしは何も言わずにただ受け入れた。
数秒、舌を絡め合ったあと、離されたジンの唇には、わたしの赤いリップが移ってる。
まるで血の色みたい。
「お前を殺してやるよ」
「え…」
「俺が飼い殺してやる」
そう言ってジンはわたしの手を引いてバーを出た。
そして、バーがあるホテルのエレベーターのボタンを押した。