【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第47章 黒い猫の歌 ☆
任務を終えたわたしは一人でバーカウンターでお酒を飲んでいた。
飲むのはいつも決まって ジントニック
グラスを片手にぼーっと今日半殺しにしたマフィアのことを思い出してた。
彼らにもきっと、帰りを待つ者がいて、その人達は悲しんでる。
わたしには誰もいないのに、どうしてこんなふうに生きてるんだろう。
いっそのこと誰かわたしを殺してくれればいいのに。
そしたら、こんな価値のない人間のせいで命を落とす人が減る。
だけどわたしにはこれしかない。
あの、相手を制圧した時の快感、危険に身を置けば置くほど湧き上がる生きてる実感。
そんな快感に囚われて、この仕事を始めてもう3年になる。
グラスの氷が溶けてカラン…と鳴ったとき、バーのドアが同時に開いた。
扉につけているドアチャイムが氷と一緒に鳴って、妙に幻想的に聞こえた。
入ってきた人は、そのままコツコツとゆっくり靴音を鳴らしながら、わたしの隣に座り、わたしの髪に触れる。
「ジェーン」
「名前、知ってるの…?」
「お前は興味深い存在だからな。」
その男はそう言いながら、わたしを冷たい瞳で覗いてきた。
「わたしもあなたのこと、知ってる。
わたしをよく指名してくれる、ジンでしょ?」
名前を呼んだ後ジントニックを飲むと、ジンはふ…と笑ってタバコに火をつけた。
「お前は仕事が速いからな」
「…どうも」
冷たい、氷のような瞳。
この瞳に睨まれて生きている人間はいない。
謎に包まれた大きな組織のリーダーのような存在。
多分、わたしが今まで一緒に仕事したことのあるバーボンやウォッカよりも上の立場で、極悪人。