第46章 HAPPY BIRTHDAY ☆

「サラ、おいで？」


後部座席に座る沖矢さんが自分の脚の間にわたしを手招きした。
ゆっくりと沖矢さんの身体の前に座ると、裸になったわたしにジャケットをかけ、肩を抱き寄せてくれた。

そしてそのまま、頭にキスをする。


「沖矢さんって…全然ウサギじゃないね」

「ホォー。じゃあ何ですか？」

「……オオカミ！
だってこんなエッチなことウサギはしないもん」


そう言うと、沖矢さんはハハッと笑ってわたしの髪を撫でた。


「では君は、オオカミ食べられた赤ずきんですか？可愛いですね」


かあぁあっと自分の顔が熱くなる。
そんな、優しい声で可愛いって言わないでよ…


「嫌いですか？オオカミ」


沖矢さんがわたしを試すように笑う。
ずるい…赤井さんも沖矢さんも、どっちもずるい。


「…すき。オオカミも黒豹も」


悔しいけど、嫌いなわけないもの…
多分そう思ってるのが顔に出てたんだと思う。

沖矢さんはわたしをぎゅっと抱きしめ、唇を奪った。

一度触れるだけのキスをして、二度目は少し長いキス。


今、幸せすぎて、幸せすぎて
たまに忘れそうになる。


わたしが、過去に何をやってきたのか。
あの組織と関わっていた時のことも全部、忘れたくなる…