第46章 HAPPY BIRTHDAY ☆

サラは、うーん。とまた考えた後、ふふっと笑いながら言った。


「赤井さんには、物じゃないものたくさんもらってるから。
ずーっと一緒にいてくれれば他に何もいらない…指輪ももらっちゃったし…」


そう言って、サラは自分の右手薬指についた指輪を大事そうに頬に寄せた。


「…じゃあ、約束」


サラの言葉を聞いて、俺はゆっくりと小指を差し出した。


「絶対に、お前のそばから離れないと、約束する」

「うん…」


サラも、少し微笑みながら、俺の小指に小さな小指が絡んだ。


「…明日はどこか行くか」


「え！ほんと？」


「ああ。どこに行きたい？」


「んー…動物園！」


まさかの行き先に、俺は思わず思ったことがぽろりと口から出た。


「…小学生か？お前…」


「行ったことないんだもん…」


そう言いながらしゅんとするサラの頭をぽんぽんと撫でると、俺はいとも簡単にサラに屈する。


「行こう。動物園」

「ほんと？」

「あぁ。お前の誕生日だしな」

「明日はもう誕生日じゃないけどね」

「誕生日の延長戦だ」


サラは嬉しそうに笑って、シチューを口に運んだ。

来年も、再来年もずっとこうしてサラの誕生日を祝いたい。


世界で一番大切な人が生まれた日。


この日付は、俺にとって何より大切な日になった。
一年のうち、最も尊い日だ。
これからもずっと。