第46章 HAPPY BIRTHDAY ☆

赤井side


「…っ…」


俺の腕の中で、サラが泣いているのに気付いた俺は思った。

やっぱり、もっと特別な…例えば夜景の見えるレストランとか、そういうのがよかったのか…

シチューじゃなくて肉が食べたかったのか…？
それともケーキはチーズケーキの方がよかったのかもしれない。

思った誕生日じゃなかった。
そう思われていると思った俺は、何がいけなかったのか必死にシミュレーションをする。


「…サラ…すまない。
誕生日と知ったのが、ほんの3時間前で、十分に準備ができなかったんだ」


そう言うと、サラは慌てて身体を離して言う。


「ちがうの！」

「え…」

「そうじゃなくて…っ嬉しいの…誕生日、こんな風にお祝いされたことなかったから…」


そう言って、サラはボロボロ涙を零した。


「そ、そうか…良かった。」

「ありがとう…最高の誕生日だよ…」


そう言ってサラは俺にまた抱きついた。


「今日はお前の言うこと、なんでも聞いてやる」

「え…」

「欲しいもの、何でも言ってみろ。
車でも、マンションでも」

「そんなのいらないよ……じゃあ、ひとつお願い聞いてくれる？」

「何だ。言ってみろ」

「…キスして…いっぱい」