【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第46章 HAPPY BIRTHDAY ☆
「お疲れ様でしたー!」
ポアロのバイトが終わり、わたしは足早にポアロを出て大通りを歩いた。
今日淹れたわたしのコーヒー、絶品だったな?
今度赤井さんにも淹れてあげよっと。
ほら、事あるごとに赤井さんのことを思い出してしまう。
鼻歌を歌いながら、バイト中に外していた赤井さんがくれた指輪を右手に通した。
その手を上に挙げ、月明かりに照らしてみると、わたしの右手の薬指にキラキラと指輪が光る。
「ふふっ」
それが嬉しくて、1人不審者の如くニヤニヤするわたし。
ふんふんと鼻歌を歌いながら大通りを歩いていると、家電量販店のテレビが目に入った。
その時、ニュースキャスターが今日の日付を読み上げ、わたしは、あ。と思い出す。
「今日誕生日だ。そういえば」
とは言っても、わたしは10歳の誕生日の前日に両親を亡くし、それからは一度も誰かに誕生日を祝われたことがない。
なんなら自分ですら、あ。昨日誕生日だった。
と後から思い出す事もある。
そのぐらい、わたしにとって空気と化してるバースデー。
わたしは、また右手薬指を眺めながら思った。
これがあれば、もう何もいらない。
こんな素敵なプレゼントを貰えただけで、わたしの人生花丸だ…
自分の誕生日なんて、重要じゃない。
それより、赤井さんと出会った日や、赤井さんとやり直した日の方がわたしにとっては重要な記念日だ。
あぁ、なんて幸せ…
そう思いながら、わたしはマンションのエントランスをくぐった。