第46章 HAPPY BIRTHDAY ☆

「歩美はやっぱり、美味しいケーキがあれば嬉しいなぁ」


なるほど、ケーキはマストか。
メモを取りたい衝動を抑え、俺は脳内のメモリに書き込んでいく。


「わたしは…おめでとうの一言があれば、それだけで十分かな」

「なによ蘭ー！抱きしめて、おめでとうの一言　でしょー？」

「なっ！何言ってんのよ園子！！」


抱きしめて…おめでとう　か。
それなら準備する必要もないな…


「あたしは、やっぱり部屋中をキャンドルで飾り付けて〜お姫様みたいに私のいうことなーんでも聞いて欲しいわ〜」

「園子…」


キャンドル…お姫様…
ここに来て一気にハードルが爆上がりだ。

そして最後、期待を込めて灰原哀の方を見ると、灰原哀はハァとため息をついて言う。


「小林先生への誕生日なら、みんなで何か手作りのものをプレゼントするのが喜ぶんじゃないかしら。…ま、あなたの彼女がそれで喜ぶかは知らないけど」


見透かされている…

しかし、出てきた案は
ケーキ
抱きしめておめでとうと一言
キャンドルにお姫様扱い
何か手作り

ハッと時計を見ると、サラが帰って来るまであと2時間しかない。


「じゃ、じゃあ僕はこれで」


ササッと誰にも突っ込まれないうちに阿笠邸を後にし、俺は即座に車に乗り込んだ。

時間との勝負だ…

そう思いながら車のアクセルを思いっきり踏んで発進した。