第45章 A Whole New World ☆

アラジンが出没するらしいアラビアンコーストというエリアにサラを連れてきた。

サラが喜ぶのはわかっているが、俺は内心はアラジンが居ませんように。と思っている。

事前に調べてみたところ、毎日出没するわけではなく、会える日と会えない日があるらしい。
それも、会えるのは1日のうちのたった数十分。

会えないなら、それに越したことはない。
そう思っていると、サラが向こうを指差して声を上げた。


「いたー！」


見ると、アラジンとジャスミンがグリーティングをしている。

サラ…お前、運良すぎだ…

いるのかよ。という反応をする俺の横で、サラはきゃっきゃと笑いながら言う。


「ジャスミンもいる！あのカップル大好きなの！ね、いこ！」


俺はサラに手を引かれるがまま、アラジンたちの方へ近づいた。


「わー。やっぱりアラジンかっこいい…」


サラはそう言いながらスマホで写真をカシャカシャと撮影している。

そりゃ、かっこいいだろうな。
なんて言ったって、「王子様」なんだから。

他の男に向けて格好いいと平気で言われると、俺の嫉妬心に小さな火がつく。


「ほら、さっさと写真撮ってもらえよ」


半ば投げやりにそんなことを言ってしまう。
サラは、そんな俺に首を傾げながら言った。


「ううん。ひと目会えただけで十分。
またアトラクション乗りに行こう？」


そして俺の手を取ると、そのままアラジン達がいるエリアを後にした。