【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第44章 Back to December ☆
抱かれたあと、わたしはバスルームに入った。
この部屋のバスルームからは、東京の夜景が一望できる。
湯船には薔薇の花びらが浮かんでいて、わたしは思わずそれを手で掬った。
「サラ…」
後ろから赤井さんが同じ湯船に入ってきて、わたしの身体を抱きしめた。
ぱしゃ…とお湯が揺れる音がする。
わたしの身体を、赤井さんの逞しい腕が捕まえて、性懲りも無くドキドキと胸が鳴る。
こんなに毎回かっこいいってときめいていて、わたしいつか心臓麻痺で死んじゃうかも…とすら思うぐらいだ。
「前に、やったよね。バラ風呂。」
「工藤邸でな」
「うん。あのとき、赤井さんが薔薇の花束買ってきてくれたの。
…嬉しかった」
そう言って笑いながら赤井さんの方へ寄り掛かると、赤井さんは自分の髪をお湯でオールバックにしながらわたしの頬にキスをした。
「あれは、完全に俺の勘違いだったがな」
そう言いながら、赤井さんは徐にわたしの右手を握って、薬指にはまった指輪に触れた。
「…よく似合ってる。」
「ありがとう…毎日つけるね」
「…良いものだな。
自分の好きな女が、自分のあげた指輪をしているのを見るのは」
そして赤井さんは、わたしの手の甲にキスをした。
「わたしも。
自分の指に、好きな人からの贈り物がはまっているのがこんなに嬉しいって思わなかった」
ずっと、憧れてた。
ママの指にはまったパパとの結婚指輪を見て、いつかわたしにも王子様が…そんなことを10歳のわたしは思ってた。
だけど世界が一変して、闇に落ちて、わたしの指に愛の証がはまる日なんて、永遠に来ないと思ってた。
だから、もう指輪を眺めるだけでわたしの目に涙が溜まる。