【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第7章 この夜を止めてよ☆
赤井さんがなぜ沖矢さんの格好をしているのか、思えばちゃんと聞いたことなかった。
けど、最初に会った時、彼は言った。
「俺が生きているということを知られたからには」
と。
つまり、赤井さんは死んだことになっているということ…?
理由はわからないけど、それだけは合点がいった。
そして、この人はまだ赤井さんのこと想ってるんだ…
「あなたが一人で運んでくれたの?」
「あ、いえ。わたしの同居人が一緒で。」
「じゃあ、その方にもお礼を言いたいわ。」
「…下で夕食の準備をしているんで、呼んできますね」
そう言って作り笑いをして、部屋を出てキッチンに向かった。
どんな顔して言えばいいの…
わたしが気付いたこと、隠していた方がいい?
方針が定まらないまま、クリームシチューの味見をしている沖矢さんに話しかけた。
「沖矢さん」
「ああ、どうです?気が付きました?」
「うん…。沖矢さんにもお礼がしたいって」
「…お礼は不要です。
鍋から目を離せないので。
回復したようで良かった。そう伝えてください」
「…本当にいいの?それで…」
「はい」
「本当に、本当に?」
「はい」
こっちを向かずにそう言う沖矢さんは、やはり何かを隠しているみたいだ。
わたしはそれ以上の追求をやめて、再び女性を寝かせた赤井さんの部屋へ向かった。
「すみません。ちょっと今手が離せないみたいで…
お礼は気にしないで、回復して良かったって…」
「そう…。じゃあまた改めて何かさせていただくわ。
今日は本当にありがとう。
迎えを呼びたいんだけど、ここの住所を教えてもらえる?」
「米花町2丁目21番地です。」
「え…もしかして隣は…阿笠博士?」
「はい。そうですけど…」
ジョディさんは、少し考え込んだ後、
「…そんなわけないか…」
そうポツリと呟き、スマホで迎えの車を呼んだ。