第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「…………」
ミドリの刺すような視線を浴びた時には、自分の失言に気付いていた。
「…クロサキちゃん、どうして“落ちた”なんて知ってるの?」
「それは…」
そうよ落ちて死んだなんて、誰も知らないじゃない…完全にミスったわ。なんとか誤魔化さなきゃ。
「ミドリあのね…」
「まさかクロサキちゃんが…」
「貴女は私がやったと思ってるの?」
「……………」
だけど凍りついた空気を見かねて、アカイが私とミドリの間に割って入る。
「まぁ推理くらい俺だってしたよ、事故か?他殺か?はたまた自殺か…!?」
「(ナイス助け舟だわ、アカイ…!)」
心の中で両手を合わせて感謝した。
「そうよ、推理に決まってるじゃない。頭の中で考えたこと、そのまま口に出てたわ、たかが推理なのにね」
「…私、部屋に戻るね」
ミドリは私に視線を寄越すことなく、部屋へ戻ってしまった。
「アンタ…なんかあるなら、早いとこ白状しなよねぇ。じゃ。」
「…こんな状況だからさ、口には気ぃつけとけよ?じゃあな」
「……………」
ミドリもスミレも私を疑ってる。
「だったらやる事は変わらない。残念だわふたりとも…私は友達だと思ってたのよ?」
口許に怪しく湛えた笑み。
「さぁ、裏工作を始めましょう」
◇◆◇
「(まずはミドリの部屋に行くべきね。一応謝って誤解を解かないと…)」
裏工作【スミレとミドリの口封じ】
3階にあるミドリの部屋を訪ねる。
「ミドリ…」
「……………」
「…シラユキが落ちて死んだのかもっていうのは、本当にただの思い付きなのよ」
「…なにもやましいことがないなら…言い訳もする必要ないと、思うよ?」
「(…大人しいから丸め込めると思ったのに…馬鹿なカナザワより余程手強いわね)」
「…出て行って。今はクロサキちゃんと話したくない」
「…そう。わかったわ。」
ミドリに部屋から追い出される。私は次に2階にあるスミレの部屋へと向かった。
「あーもうツケマなくした〜…たるい…」
「スミレ、何をしているの?」
「ツケマツケマ…」
彼女は何かを必死に探している。
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