第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「ねぇスミレ、捜し物しているところ悪いんだけど…ちょっと話が…」
「んー今クロサキと話してる暇ない。捜し物あるからまた後でにしてくんない?」
「(スミレも話を聞いてくれなさそうね…)」
一旦諦め、スミレの部屋を出る。
「(正直犯人扱いされるのも精神的にツラい…なんてね。)」
ペロッと舌を出す。私はとことん悪女に近い。だって逃げ切る為だもの。シラユキが死んだのは本当に悲しい。だって友達を一人、亡くしたんだから。それでも私は捕まりたくないのよ。
「ミドリはシラユキの死でショックを受けて過敏になってるだけ。そうなると…先に誤解を解くのはスミレの方ね」
スミレとは大学に入ってすぐに出来た友達だ。見た目は派手だしギャルだし、陽キャ代表と言っていいだろう。でも彼女と一緒にいるのは嫌いじゃない。
「(ただスミレは口が軽い。アオキに何でも話そうだ。)」
確かスミレの好きなタイプは…
「(尽くしてくれる男だったわね。)」
まずはスミレの機嫌を取りに行く為、もう一度彼女の部屋を訪ねた。
「コンビニもないし…最悪…。あーツケマ高かったっつうのに…最悪…」
「スミレ、何か探してるなら手伝うわよ」
「あークロサキ。まじで探してくれんの?じゃあツケマ探しといてくんない?」
「ツケマを無くしたのね」
「あれチョー高かったんだよ。なのにどこ探しても見つかんないし…まじ最悪だっつうの」
ぶつぶつと文句を言っているスミレを他所に私は机の上を探し始める。
「(っ!虫…!?)」
手で払おうとして留まる。
「あら…よく見たら違う…?」
それを摘み、もっと近くで観察する。
「スミレ、ツケマあったわよ」
「あー…見つかった?おつー、そこ置いといてー。てかさークロサキ…」
「何かしら?」
「ぶっちゃけ、シラユキ殺したのアンタ?」
「……………」
スッと目を細め、無表情でスミレを見る。
「まさか友達を疑ってるの?」
「別にそーゆーんじゃないけど…」
「ねぇスミレ、私はまだ貴女達と友達でいたいのよ。お願いだから勝手な憶測で私を犯人と決めつけないで」
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