第2章 犯人は私です。【真実編】
会議が始まるとやはりアカイは私を犯人だとみんなの前で告発した。けれど私は彼の言葉を、手に入れた証拠品で打ち破り、見事裏工作を成功させた。
そして最後の会議を終え、アオキの締めで解散になった。少し遅れてアカイもリビングから出て行った。
「さてと…」
最後に一つやり残したことがある。シラユキのスマホから、ダイイングメッセージを消しておかないと。
私は彼女の部屋へと向かう。
「(あった。)」
シラユキのスマホだ。ダイイングメッセージはたしか…これね。私は“クロサキ”と書かれたメールを削除した。
よし…これで…
「……あら……?」
完全に消去し、シラユキのスマホを閉じようとした時、ふと目に留まったのは、見覚えのあるボイスレコーダーアプリだ。
「(カナザワもこのアプリ入れてたわね…)」
シラユキと言えば、アカイの秘密を握っていた。
「(…もしかしたら、私とアカイ以外の情報も握っているかもしれない。)」
人の秘密を知ることに貪欲になっていた私は、迷わずボイスレコーダーアプリを起動した。
「(録音日時は…旅行初夜。)」
《………………うっ……………、………クロ…サキ……》
「(………!!!シラユキあの女…声でダイイングメッセージを…)」
今すぐ消そう──
削除ボタンに指を伸ばした時だった。
《……と………………アカイ……》
「……アカイ?」
予想だにしない名前を聞いて、思わず声に出していた。
「誰かいるのか?」
「(やばっ……!)」
突然背後から声を掛けられ、私はスマホを後ろ手に隠した。
「…何してるんだ…?」
アオキだった。
「何もしてない、わよ…?」
「そうか」
「ええ。…じゃあ、おやすみ」
「あぁ、おやすみ…と言うとでも思ったか!」
「えっ……!?」
「…今、シラユキのスマホ持ってなかったか?」
「(まずい…!!!)」
「まさかお前…やっぱり…」
アオキは訝しげな顔で私を見ている。
とりあえず逃げる…!
「アオキごめん!!そこをどいて…!!!」
ドンッ
私はアオキを押しのけ部屋を飛び出した。
「なっ…お前っ!!!!」
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