第2章 犯人は私です。【真実編】
アカイの部屋を出た私は3階から大声で聞こえてきた歌声に驚き、この声の主があの人物のものだと知り、奴の部屋に乗り込んだ。
「うるっさいわねカナザワ!!!」
「すなぁあああああああらしぃぃいいいいいいい!!!」
カナザワはスマホに向かって、聞くに堪えない歌を歌っていた。
「やっぱ『ロミオ冷麺』最高だぜ!!!!」
「何が『ロミオ冷麺最高だぜ!!!!』よ!!!!」
「クロサキ!?勝手に入って来んなよ!?」
「アンタの汚い歌声が耳障りで止めに来たのよ!!感謝しなさいよね!!」
「ああン!?俺のこの美声のどこが汚ねえって言うんだよ!!」
「…カナザワ。」
「ひっ……!!」
両腕を組み、低くなった声でカナザワを見る。ゴゴゴゴ…っと怒りを露わにすればカナザワは情けない声を上げた。
「アンタの汚い声を誰に聞かせんのよ」
「汚いって言うな!!…コレ使って俺の美声を録音してんだよ」
カナザワはそう言ってスマホ画面を見せつけてくる。
「(…ボイスレコーダーアプリね。)」
「ボタン一つで録音開始!ちょう便利っしょ!」
「(なるほど、馬鹿なカナザワでも使いこなせるというわけね。)」
「もういいだろ。俺は歌い手目指して日々忙しいんだ、とっとと失せやがれ」
「ねぇカナザワ、口の利き方には気をつけましょうね?“帰ってください”…でしょ?」
「っ………!!?」
にっこりと笑えば、カナザワは分かりやすくビクッと反応した。
「帰ってください…」
「よろしい。」
ふんっと鼻を鳴らし、しょんぼりと項垂れているカナザワの部屋を後にした。
私は今回の裏工作で手に入れた証拠品を見て自然と口元が歪み、可笑しげに笑う。
「ふふ…あはは!やっと見つけたわ!アカイ…これでアンタを追い詰める!」
あの裏切り者を騙し通せたら、さぞかし気分が良いだろう。やってやる…。このまま全員の目を欺いて、罪を逃れ続ける!!
「裏工作は終了よ。楽しみねぇ…アカイが勝つか、私が勝つか。最後の会議で決着をつけましょう。」
そうして、最後の会議が始まった…。
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