第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「いっとくけど、犯人は私じゃないわよ」
「犯人はそー言うんだよ、なぁ?…いいからさっさと出てけ」
とても私の話を聞いてくれる様子じゃないわね。カナザワが大人しく言うことを聞くような奴に頼んでみようかしら…。
「(あの馬鹿の言うことを聞かせる相手…やっぱりあの人ね。)」
部屋を出た私は1階にあるリビングに向かう。そこには電話中のアオキがいた。
「…アオキ、電話してたの?」
「あぁ、警察とな」
アオキ。顔よし性格よし頭よし。彼女の有無は知らないが、これでモテないわけがない。女子に甘い部分があるけれど、マジメで頼れるサークルの部長だ。
「さすが部長よね」
「何がだ?」
「あの姿のシラユキを見た女の子達を早く部屋に帰そうとあの場をおさめてくれたでしょ」
「ああ…スミレはともかく、ミドリがかなりショックを受けてたからな。ったく、カナザワも考えろよな…男だけ呼べばいいだろうに」
「(私の心配はしないのね。)」
「そうだ…悪いけどカナザワ呼んできてくれるか?あいつが第一発見者だしな、注意ついでにもう少し話を聞いておこうと思ってさ」
「…えぇ、わかったわ」
もしかしてアオキはカナザワを疑ってるの?とにかくカナザワを呼びに行こう。
◇◆◇
「…あ?テメェまた来やがって…!」
「私だって好きであんたの部屋に来てんじゃないわよ」
「ンだと!!」
「アオキがあんたを呼んでるわ」
「…アオキが?」
カナザワは小走りで部屋を出て行った。
「ホント、アオキに対して弱いわね…」
ふとあるものが目に入る。
「(……?あいつ机にスマホ置いてったわね。カナザワはいない。少し部屋を見せてもらおう。)」
カナザワが戻って来ないことを良いことに、私は奴の部屋を物色し始める。すると手始めにベッドの枕元から一枚の写真を見つけた。
「これは…シラユキの写真?あの男…こんなものを持ち歩いてるのね。ちょっと…いや、かなり引くわ…」
目線が外れてることから、きっとコッソリ撮ったのだろう。
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