第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「やっぱり畳も良いわよね」
1階の和室にやって来た私は足を踏み入れると床に落ちているゴミを見つけた。
「何かしら…くしゃくしゃの紙がある」
拾って丸められた紙を開いてみる。
「さ…催告書…?実物は初めて見たわ」
どうやらミドリ宛だ。
「ミドリに借金が?支払額は…1000万!?」
見間違いかと思い、紙を近付け、目を凝らすが、見間違いではなかった。
「どんなお金の使い方してるのよ…」
まさか和室で催告の書類を見つけるとは思わなかった。しかもこの催告書にはかなり高い金額が記されている。
「キャバクラと言い催告書と言い…ミドリって一体…?」
あの性格だから、まさかミドリにあんな一面があるとは驚きだ。人を見た目で判断してはいけないとはまさにこのことだ。
「あ、バスルームの窓、空気の入れ替えしてるのかしら?」
和室から出た私は同じ1階にあるバスルームに向かう。扉を開けると窓は開いていた。
「なにか落ちてる。これ…つけ爪?」
デコられているつけ爪を見つけた。私もたまにつけ爪をしているが、ここまで攻撃力があがりそうなデコり方はしてない。
「ひとまずコレくらいかしらね…」
つけ爪を掌でギュッと握り、窓の外を見る。
「さぁ、裏工作は終了よ。あとはあの二人を大人しくさせる。見てなさい…私を裏切るならそれなりの代償を払ってもらうわ」
◇◆◇
日が落ちたら今日もみんなでリビングに集まることになっている。今朝の一件…私が口を滑らせたせいで、スミレとミドリは完全に私を疑っている。
スミレはなんとかなりそうだが…問題はミドリだ。ミドリには私達に隠している本性がある気がする…。
とりあえず、ミドリには特に注意して今日の会議を乗り切ろう。
「みんな集まったな。毎日不安だと思うが──」
アオキは手際よく会議を進行している。
「昨日言った通り、シラユキはシラユキが泊まっていた部屋に運んである」
「…シラユキさん…野ざらしで可哀想だったもんね…」
「そうだな。雨も降ってるし」
「シラユキさんが亡くなったのって…ちょうどバルコニーの真下だったよね」
「!」
「シラユキさん、バルコニーから落ちて死んだんでしょ…」
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