第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「(ミドリ…やっぱりあんた…)」
「そうなのか…?何でそんなこと知って…」
「クロサキちゃんが言ってたよ…!」
「(さっそくバラされたわね…。落ち着いて。こんな時こそ堂々と、よ。)」
「クロサキちゃんが今朝ね…。シラユキさんは『どうして落ちたんだ?』って。ねえ、クロサキちゃん。シラユキさんは“落ちた”って言ったよね?」
「ええ、言ったわ」
「開き直り?」
「事実だもの」
「なんでクロサキちゃんは…シラユキさんがバルコニーから落ちたと思ったの?」
「落ちたと思うのは当然よ」
「クロサキちゃんが落としたから…?」
「そうじゃなくて…みんなシラユキは殺されたって言ってるけど…普通に考えたらシラユキは事故でしょう…?」
ミドリの疑惑の目を欺く為に嘘を突き通す。
「みんな…よく考えて。私は…シラユキが死んだのは事故だと思ってた。でもそれを殺されたって…ミドリはそんなにシラユキが殺されてほしかったの?」
「なんでそんなこというの…ひどい」
「クロサキもなかなかヒドイこと言うね〜」
「おい、クロサキ言い過ぎだ」
「ミドリにはシラユキが死んで喜ぶ理由なんてないだろ?」
「それが…あるのよ」
みんなに教えてあげましょう。ミドリにとってシラユキが殺されて良かったと思う理由を。私はスマホに表示されていた借金のことを話に持ち出す。
「ミドリ…シラユキからお金借りてたでしょう?」
「なんでそんなこと…」
ミドリは明らかに動揺した。
「借りたお金はもう返したの?」
「……………」
「お金を借りた相手が死ぬなんて。こんな都合がいいことはないんじゃないかしら。もしかしてミドリが殺したんじゃ…」
「そんなわけない!」
「(当然ミドリは犯人じゃないわ。)」
「でもさ、こんな大人しいミドリが人を殺すことなんてできるわけないだろ」
「そうだな」
「女子同士の付き合いとかあるしさ〜、そこらへん仕方なくない?むしろそれを指摘するクロサキもクロサキだよ」
「そうかしら。ねぇミドリ、貴女が私のこと、本当はどう思っているか知らないけど…これだけは先に言っておくわよ」
こちらを睨みつけているミドリと目が合う。
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