第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「…また、言い訳?」
「いいえ。言い訳は必要ないって貴女が言ったから」
「シラユキさんとは、無関係ってこと…?」
「ええ。堂々としていることにしたわ。だって殺していないもの」
「…それをわざわざ言いに来たの?」
「スミレがミドリにトイレまで来てほしいそうよ」
「…どういうこと?クロサキちゃんじゃダメなの?」
「ミドリは私と違って優しいもの。スミレは貴女に来て欲しいのよ。あとトイレットペーパーを持って行けば解決すると思うわ」
「…そういうこと。わかった。」
部屋から出ていこうとしたミドリが私を振り返った。
「…クロサキちゃん、ごめんね」
「(…ミドリが、私に微笑んだ?)」
「私はやっぱり…アナタがシラユキさんを殺したんだと思う」
バタンッ
「…私の方こそごめんなさいね、ミドリ。貴女が私を疑うのなら、私は貴女を徹底的に騙して、最後まで逃げ切るわ」
ミドリがいなくなった今、部屋は無人。少し部屋を見させてもらうことにした。
「鞄の口が開きっぱなし…。あら、これは…キャバ嬢の名刺。ミドリが貰ったもの?」
茶色い名刺で蝶が二匹あしらわれ、“あいら”と書かれている。
「ミドリがキャバクラに行くなんて意外ね…って、そんなはずないわね。これ、ミドリ本人の名刺だわ」
まさかあの大人しそうなミドリが?キャバクラで働いてるの?
「びっくりだわ…」
一応、拝借しておいた。
「あら?床に何か落ちて…プリクラ?ミドリと…もう一人は誰かしら?」
“リョウタ”と書かれた名前とハートマークがあった。
「ミドリもプリクラとか撮るのね」
随分と親しげに映っている。見たことないがもしかして恋人なのだろうか。
ヴー…ヴー…
「!」
すると机に置いてあるミドリのスマホが鳴っている。画面を覗いてみることにした。
「!?」
そこにはシラユキから100万も借りているという事実が載っている。
「100万も一体何に使う気よ…」
スマホの画面に表示された予定通知。内容は『シラユキさん→100万円返す』だった。
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