第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「…わかった、ごめん。」
「分かってくれたらいいのよ。こっちこそ変な空気にしてしまってごめんなさい。あ、そうだスミレ。ノド乾かない?」
「あーたしかに乾いたかも」
「何か持って来てあげるから、さっきの話の続き聞いてくれる?」
「うんうん、聞く聞くー」
「じゃあ持って来るわね」
にこりと笑ってスミレの部屋を出た後、1階のキッチンに向かい、流し台の下の収納を開ける。
「いろんな飲み物が入ってるわね。牛乳、青汁、紅茶…」
香り豊かな紅茶。紅茶に含まれているカフェインには、利尿作用があるらしい。カップに注いだ紅茶を持ち、再びスミレの部屋に戻る。
◇◆◇
「はい、お待たせ。」
「紅茶しかなかったの?」
「牛乳と青汁ならあったわよ」
「……………ぷはぁ〜」
不満げな顔をしていたが余程ノドが乾いていたのか、スミレは一気に飲み干した。
「アンタのは?」
「私は水を飲んできたから平気よ」
「あっそ。」
「ねぇスミレ…」
「やっぱりあたし言うわ」
「え?」
「アンタが怪しいって会議で言う」
「……………」
「クロサキ怖い顔〜(笑)」
「スミレ…私たち、友達よね?」
そう聞くも、スミレは笑ってるだけだった。
「その友達を、売るの?」
「売るっつーか…クロサキが犯人なんじゃないかーって思ってる」
「憶測で犯人呼ばわりはやめてと言ったはずよ」
「ねぇクロサキ…いい加減にしてくんない?あたし、正直アンタのそーゆー上から目線で、自分より弱い奴を見下すところ、まじで大嫌い」
「そんな風に思ってたのね…残念だわ」
「…とっとと出てって」
「スミレといたから大学生活も楽しかったのよ。ミドリも優しくていい子で…。それなのに私を信じないのね」
「は、早く出て行って…!」
「スミレ?」
「…………!」
「?」
急にもじもじし始めたスミレに首を傾げる。
「…と、とにかく、アンタに構ってるヒマないから!」
「なんなの…?」
早口で言い切るとスミレは慌てて部屋を出て行った。
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