第2章 1.あの頃の夢
結花こっちにおいで〜!
何処かで見た事のある景色、辺りにはいろとりどりのお花。私と幼い私、母、父を花が囲っている。
「お母さん!お父さん!みて!きれいなたんぽぽの髪飾り!」
『とっても綺麗だねえ〜』
そう言って現れたのは叔母だった。
「あらお母さん!」「こんにちはお義母さん!」
母と父は声を揃えて明るく挨拶をしている。
「お母さん!叔母ちゃん!お父さん!これあげる!」
と私が黄色の花を3人の頭に乗せたとき、
「結花!!!逃げて!!!」
母が大声を出したとき辺りは熱い炎の海で満たされた。地獄だ。
「結花早く叔母ちゃんと逃げなさい」
父が私の肩に力強く手を乗せてそう言い放った。
どうして、どうして…………
「私はまだお母さんとお父さん、叔母ちゃんと一緒にいたい!!!」
そう言った幼い私の目に赤色の混じる涙が一粒。顔を歪めて流れていた。
「結花。ごめんね、ごめんねお母さん達ももっと貴方を愛してあげたかった。一緒に過ごしたかった。貴方の成長を見守っていたかった。ごめんね。」
母と父は私に背中を向けながら
『愛してるよ』
「術式 ーーーーーーーーー」
両親がそう言った途端、私は叔母に手を優しく握られ辺り一面の炎から連れ出された。