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あなたが愛してくれたら【R18】

第11章 4月26日 社外


「明日の準備、頑張って。 金子くんは私が〆とくから」

「心配無い。 小夜子ももう無理に仕事すんなよ」

「え?」

「ああ、悪い。 湊さんだ。 ……帰る」


親密な雰囲気からつい名前呼びをしてしまい、流石にこれはやばいと思い訂正した。


「メッセージとかならいいけどね。 そこまでは器用じゃないでしょ『 怜治くん 』」


苦笑しつつ小夜子が手を振る。
まあ確かに、自分も怜治くんは嫌だ。


「じゃ、また明日」


今度は怜治が二度後ろを振り返った。
二度目は早く家に入れ、のジェスチャー付きで。
了解、と真っ直ぐに手を伸ばした小夜子がマンションに消えて行く。


「……参ったな」


着込んだ上着の、胸元の辺りの生地に顔を寄せる。
普段から軽く何かつけてるのか、爽やかな甘さの花の香りがした。
なんだろ?
草っぱらに咲いてる、野生の花みたいな。

ポケットに入れた缶は冷たく、怜治はその辺で飲みながら帰りたい気分でもあった。


だがまずは、目の前の仕事を片付けるのが先だ。

女の事は後だ後。

そう思いなおし足早に帰途へ向かう。




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