第10章 4月26日 社内
一方の怜治はというと、小夜子に比べ、ある意味は呑気なものだった。
一通りの自分の設計が通って評判は良かったし、先々の社内ネットワークの資料に目を通して、気になる所にチェックを入れていた。
というか、気になる所が多過ぎた。
雑過ぎて、想定し得るトラブルがいくつも目に見える様だった。
だが怜治が実務をする訳じゃない。
これもまた外部業者との折衝だ。
「二度手間どころじゃねえぞ、これ」
元々得意な分野ではあったが、それだけに仕事に関しては鬱憤が募っていった。
自分はどこまでやるべきか、その線引きがうまく引けない。
やればやる程限界が見えてくる気がした。
他方で、自分のミスにはならない。 適当に考えれば済むことだ。 そうも思う。
もし小夜子なら、こういう時どうするんだろう。
幾度となくそんな事を考えていた時にスマホが鳴った。
社内というのが若干面倒だったが、タイミングよく彼女と話したかった所だ。