第8章 4月13日と少し 湊のマンション、社内
意外にと言っては何だが、怜治は話しやすい人物だった。 親しさと節度の微妙な距離感を弁えている。
自分がそう思うんだから、多分向こうもそうなんだろう。
でなければこんなやり取りなんてしてない。
小夜子は気楽にそう思っていた。
昼休憩のランチ途中、また小夜子のスマホからメッセージが届いた。
怜治の今日のランチメニューか何かかな。
近所のケータリングで済ませる小夜子に対して、彼の昼食は外食派だというのが最近得た情報。
何でも美味い夜の店を見つける為に、ランチでこの辺の飲食店を物色しているのだとか。
思えば最初に彼が選んだ居酒屋も美味だった。
なかなかに賢いと思う。
『小夜、最近全然連絡くんないけどどうかした?』
「……………」
一瞬、考える。
送信欄の、高木の『高』の文字で思い出した。
一希だ。
セフレというのも聞こえが悪いが、月に二、三度程遊びに行ったり寝たりしてた人。