第8章 4月13日と少し 湊のマンション、社内
『二日酔い大丈夫?』
「大丈夫、じゃない……」
そう呟いて小夜子は今しがた、自分の睡眠を邪魔したスマホごと頭を抱えた。
玲二からのメッセージ。
二日酔いと寝起きのダブルのダメージでまだぼんやりとしていた。
二度寝する時間は無く、けれど起き上がる勇気もまだ湧かずに、ベッドの中でうとうととしながら指だけを動かす。
「頭が痛いよ」
『んな事訴えられても』
「少しは同情してくれないの」
『するか。 迎えにまで行ってやったのに。 なんなら今朝も行ってやろうか?』
「余計頭痛くなりそうだから遠慮しとく」
そこで返信が途切れる。
段々と目が冴えてきて、小夜子は朝っぱらから何を親しげにやり取りしてるんだろうと思い始めた。
いや、彼の事だからまた嫌味ったらしく笑ってるに違いない。
首を振り、小夜子はのろのろと寝床から這い出て朝の支度を始めた。