第7章 4月13 高階家
父親が再婚してからリフォームをした明るく大きなキッチン。
鼻歌を歌いながら朝食の準備をする紀佳の隣で、怜治は自分専用の分厚いグラスに牛乳を注いでいる。
「昨晩はどこ行ってたの? あんな遅くに」
怜治は朝は摂らない。
単に小さい時から作る者が居なかったからだが、いつの間に早朝から胃にものを入れるのが苦痛だと思う様になっていた。
「コンビニ」
一言だけそう言い、怜治が空になったグラスを流しに戻す。
実はというと、昨晩はあまり家に居たくなかった。
案の定、今朝の泰の朝食は若干ボリュームがある。
それは夫婦なんだから普通の事なんだが。
そういう夜は、何となく怜治にも分かった。
恐らく淡白な父親の事だから、割とあっさりとしたもんだろうけど。
紀佳の機嫌を見るに『悪くは無い』らしい。
こういう時はいっそもう家を出たくなる。
いつまでも実家にいるってのもどうかと思うし。
だがそれは、紀佳と終わる事になるんじゃないか。