第6章 4月12日 達郎の店
「ちょっと……こんな平日っから」
「んんん……」
「体調悪いなら……ていうか、ちゃんとお腹に入れてから飲まなきゃっていつも言ってる」
日付が変わる前。
カウンターに突っ伏してしまった小夜子を困り顔で眺めている達郎。
あれから少し店が混んできて、よくよく彼女の様子を見ていなかった。
だがいつもなら、あれ位で潰れる小夜子ではない。
「仕方ないな」
「だ、いじょうぶ……」
ため息をつく達郎に応え、小夜子が席を立とうとした。
辺りを見回すといつの間にすっかりとお客が引けている。
達郎がそんな小夜子の様子をじっと観察する。
少しふらついてるし、顔色もあまり良くない。
そういえば、今晩は最初から彼女の様子が変だったのを思い出した。
「もう閉店間際だし、送ってくよ」
「大丈夫だってば」
「でも」
「あ、彼! 彼呼ぶから」