第4章 4月12日 社内
「地味な作業だよね。 今時」
「ですね。 来期からはアプリ含めて一元管理しますから、こんな手間も無いんですけど。 この辺は湊さんの方が詳しいでしょう」
「……………」
「僕は湊さんと入れ替わりに今の所に配属なった訳だし…終わりましたよ」
「……ご苦労さま」
労いの言葉を掛ける小夜子にちらりと視線を向け、彼女とその周りを見渡す。
呟く様な小さな声だった。
「ここの部署は女性が多いんだな」
「………?」
「そん中でも湊さんは目立つ」
「何……」
軽く頭を下げ、怜治が社会人の顔に戻る。
「こないだはご馳走様でした。 お詫びに次はこちらが奢ります」
そう言い残して去っていく怜治の背中を、しばらくの間小夜子は憮然として見送っていた。