第1章 4月5日 ホテル
「んん…む」
それでもこれで済ませられるならと、女は手を添えて本格的に男を喜ばせにかかった。
むしろ早く済ませたかったのが女の本音だ。
少しの間男はそんなただ彼女を眺めていた。
最中に無理に腰を上げることも頭を押さえ付けることもしなかった。
「…もういい」
男がそれを制して上半身を浮かせ、ベッドサイドから小さなプラスチック製の容器を手に取る。
それを傾け、油のようなトロリとした液体を手に垂らすと、起立した自身に塗り付ける。
「傷は付けないから安心しなよ」
口の端を上げた男は胡座をかいて女を抱き起こし、後ろ向きにして膝の裏に手を入れた。
背面から座ったままの体勢でしようとしていた。
臀部に男のものが当たり、彼女が嫌がった。
「っあ…そこは、いや」
女は足をばたつかせそこから逃れようと試みた。
だが先ほどきつく責められた体では、がっしりと抱えられた男の腕に抗えるだけの力が無い。
排泄のための器官を探っている男のそれに違和感しか感じない。
ただやめてと首を振り、女が繰り返し懇願する。
「あッ」