第31章 6月11日 達郎の店
「ふふ……でも、凄え嬉しい。 今までこっちのが甘えっぱなしだったから」
「へ?」
「何でも。 飲み過ぎた介抱でも、ベッドん中でも、明日の飯でも、小夜が頼ってくれたら滅茶苦茶嬉しい」
怜治の本当に嬉しそうな様子に小夜子が驚いた。
彼に甘えられた覚えなんか、無いんだけど。
でも、彼のこんな顔を見れるなら、私も凄く嬉しい。
達郎曰く愛したがり、らしい怜治。
等価。
その言葉が今度はすっと小夜子の中に収まった気がした。
それは彼を見詰めて、これから二人で決めていけばいいのだと。
お互いに、大事なものは同じなのだから。