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あなたが愛してくれたら【R18】

第31章 6月11日 達郎の店


蒸し暑い。

梅雨が好きな人はあまり居ないだろうが、週末の繁華街の人の多さに紛れていると余計にそう思う。
ブラウスが肌に張り付く感じとか。

そういう意味でも、一旦家でシャワーを浴びたかったんだけど。


予定の時間より余裕を持って達郎の店に入ると、金曜にしては客はまばらで、心地好いボサノヴァの音楽が流れていた。


「小夜ちゃん、いらっしゃい。 こないだはありがと」

「こちらこそ、楽しかった」


夏が近付くと達郎がいつものジャズからジャンルを変える。
涼しくて、これなら汗もひきそうだ。

怜治はまだ来ていない様だった。

いつも自分が座る奥のカウンター席、その後ろのテーブルでみのりが手を振っているのに気付いた。


「みのりさん! お仕事上がりですか」

「そう。 今日は普通にお客ね。 待ち合わせだって聞いた。 それまで一緒に飲んでいい?」

「喜んでご一緒します」


みのりがグラスを手に小夜子の横に腰を下ろす。

今晩は眼鏡を掛けて、地味めなスーツを着ている。
元々の美しさは変わらないが、こうやって見ると、学校の先生というのも何となく頷ける。



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