第29章 6月6日 ホテルのバスルーム
自分のそこがもう形を成さなくなって、怜治に絡まるただの肉片の様に思えた。
その肉壁も、絶え間無く抉られる雄根には適わず、ただ為すすべもなく焼け付く熱を残して穿たれるだけ。
頭がおかしくなりそうな絶頂に襲われ、それを怜治に伝えたと思う。
それでも彼は止まらなかった。
力の抜けてしまった小夜子の腰を掴み、ビクビク痙攣し続ける腟奥に打ち付ける。
時間の感覚が分からない。
やがて爆ぜ続けていた目がぼんやりと色を取り戻して、小夜子の耳にシャワーの音が届いた。
髪より細い何かで刺されたみたいな痺れを感じていた。
腰の下にあった手が離されて、次いでずるりと彼のそれが抜け、支えを失った瞬間にぐっと抱き留められた。
「…………ん…」
首筋と頬に、唇が押し付けられる気配。
肌もその内側も痺れて、動けない。
怜治が何かを耳元で囁く。
申し訳なさそうな表情をしていたから、首を振った。
その後ふわりと体が浮いて、それからまた目覚めるまでの記憶はない。