第26章 6月8日 社内
『体、大丈夫?』
月曜が空けて寝不足とか、そういうのを心配して今朝送ったメッセージからは返信がない。
けれど深読みすると返し辛い内容かも知れない。
ホテルで結局、最後は無理をさせた気がする。
本能に任せても、自制をしようとか大事にしようとしても、ああなる。
気持ちの上では全然違うとはいえ。
小夜子はどう思っているのだろうか。
昨日の朝まで、彼女は確かに自分のものだった。
けれど離れると途端に分からなくなる。
最中に、何度か好きだと言われた。
あの時は自然に受け取ったその言葉に、不安を感じるのはなぜなのか。
午前中に偶然廊下ですれ違っても、彼女はいつもの様に澄ました顔をして通り過ぎるだけ。
会社だからそれは至って普通なんだろうとは思うが。
小夜子は掴みにくい。
自分がある様で無い様で。
改めて寝たらまた一層、そう思う。
なあ、小夜。
あん時に俺が思ったこと伝えてればこんなのも考えずに済んだのか?
普段はいつも、何でも持ってる様な顔をして。
けど俺には欲しいものを、教えてくれ。