第23章 6月1日 達郎の店
あれから迷った挙句怜治は達郎に連絡した。
平日の、雨の日に訪ねた達郎の店で、二人で色々な話をした。
天気が悪いと客足も悪いから、丁度いい。
達郎は自分にも酒を入れて乾杯した。
怜治は素直に自分の気持ちを口にした。
最初は自分たちが演技だったという事も。
「そりゃね、それ位は分かったよ。 伊達にこんな仕事してないし。 でも、小夜ちゃんがきみを気になってたのだって気付いてたから」
「そりゃないと思いますよ」
小夜子に拒絶されたばかりの怜治が、自分の顔の前で力無く手のひらを振った。
「今まで彼女を見てきて20年。 僕は接客歴より最早小夜歴のが長いんだから。 週末はおいで。 悪い結果にはならないって約束する」
「まあどっちにしろ、このままじゃ引けませんし……」
ふと、怜治はもしかして達郎の方も小夜子を女性として愛していたのかと思い、それを聞いてみた。