第22章 6月6日 湊のマンション、レストラン
に、しても。
この状況は一体どうなってるんだろう?
「ここで立ち話もなんだし、行こうか」
「ですね」
つい、と手を取られて怜治がこちらの手を握ってきた。
「良い所だな。 初めて来たけど」
「……そうだね」
手を振り切るのもおかしいので、そのまま先を歩く彼らの後をついていく。
それでもやんわりと、それを離そうと思ったら、逆にぎゅっと握られ困ってしまった。
小夜子は色々諦めて、それからは身内として達郎たちを祝福する役に徹した。
「そんなに小さい時から?」
「そう。 今はこんなでも、達っちゃんって昔は割とやらかしたんですよ。 受験生だってのに学校サボって海行ったり」
「それでもいい大学にストレートに合格するまでがお約束なんだろうな、達郎さんの場合」
「もう、止めてよ……昔の暴露話は」
「あら、私はもっと聞きたいけど?」
ふふ、軽い声をあげてみのりが微笑んだ。
「みのりさんのお仕事は? モデルさんでも驚きませんけど」
「そんな。 私はただの教師。 中学校の」
「意外」
「でしょ? だから最初はこんな関係になるなんて思わなかったんだけど」
「でも、先生なんて仕事、大変じゃないですか?」
「確かに……だけど私はずっと、達郎さんの店に通ってて、あそこがとても気に入ってるの。 まず週末だけでも手伝って行こうかなって」
「ゆくゆくは?」
「さあ。 それは、なるようになるんじゃないかな」
ぱっと見の外見とは違い、さっぱりした女性の様だ。
芯が強そうで。
小夜子とも息が合って、話が尽きない雰囲気の中食事会が進んだ。