第21章 6月1日 高階家、社内
家に着き、自室に入ってからもう用はないと思っていたスマホを鞄から出し、ソファの上に放り投げて赤い点灯に気付いた。
『日取りが悪かったんだってね。 また店にでも顔出してよ』
達郎からだった。
前々から思っていたが、あんなに気の回る小夜子はこと自身には脇が甘すぎる。
「……何がキャンセルだ。 根回し位、しとけよ」
笑いたくても笑えない。
誰かと話をしたい。
聞いて欲しい。
相手を間違ってるのかも知れない。
だけど、自分には接点がもうそれしか無い。
怜治が再びスマホを開いた。