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あなたが愛してくれたら【R18】

第21章 6月1日 高階家、社内


暗い雲間からバラバラと落ちてくる雨。

アスファルトに次々に現れる水紋はそれを受け切れず、いくつもの水の流れを作り浅い水溜まりが出来ていた。


跳ねて靴が濡れるのも介さずに、傘をさした怜治は陽の落ちかけた帰路を歩いていた。

最悪だ、怜治が呟く。
考え過ぎた挙句の、自分のあの言動は軽率で悪手だった。
小夜子は平気だろうか。


『もう、放っといて』


あんな風に動揺して突き放す彼女を見たのは初めてだった。
小夜子の達郎への気持ちも知らないふりをしておくつもりだった。

いつかの彼の店での小夜子の口振りから、知られたくなんて無い事は分かっていた。

あの様子から想像するに、達郎の結婚がショックだったんだろう。

自分の存在など、彼女にとってはやはりその他大勢。


彼女からの連絡はもちろんなく、そのためにこちらからも出来ない。


『何にしろ、他人がどうこう出来る事じゃないですよ』


武井の言う通りだったんだ。


無理強いするつもりなど無い。
けれど、小夜子の言う通りに放っておいたら、終わってしまう。


「むしろ……」


気持ちを伝えて結果、こうなったんなら受け入れるべきはこっちなのか。

折り合いをつけるべきなのは俺の方だろうか。



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