第21章 6月1日 高階家、社内
「あら、怜治くん。 こんな早くから何してるの」
まだ寝間着姿の紀佳が珍しく怜治のいるキッチンに顔を出してきた。
「朝飯作り。 そっちこそ、大丈夫なのか?」
「うん、お陰様で。 いつまでも皆に甘えてられないし、少し他のも口に入れてみようかなって。 それ、怜治くんの? 確か朝は食べなかったよね」
「練習してるだけ。 親父が実験台」
「実験台。 泰さんを?」
紀佳が笑う。
テーブルの上にはご飯と目玉焼きが乗っていた。
「美味しそう。 少しお野菜足してもいいかも……まあ、お味噌汁まで作ったの?」
「うん」
紀佳が冷蔵庫からレタスを取り出してちぎり始める。
目玉焼きの皿の上にそれらやトマトを添えると、確かにそれは前よりもグレードアップして見える気がした。