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あなたが愛してくれたら【R18】

第20章 5月26日 高階家


小夜子はそんな彼に対しいくつもの思いがあった。

その誠実さを好ましく感じる自分が、一番。
次に安心する自分。
引け目を感じる自分。
物足りないと感じる自分。

……理解出来ないと感じる自分。


今まで、男の愛の言葉は小夜子にとって、ケーキのデコレーションみたいなものだった。
無いと食指は落ちるとはいえ、こういっては身も蓋もないが、無くてもいい。

彼女の中ではいつも、変換式があった。
愛してる、は自己満足。
好き、は行為を求めるもの。


けれど、怜治に対し私はこれ以上何を望んでるんだろう?
たくさんの、花束みたいな想い。
彼と関わり始めて会う毎に、新しい花が推されてゆく。


『だから俺は受け入れてくるまで待つよ』


そのやり方が分からなかった。
そのせいで、彼に触れようとする度に躊躇する。

そうするには彼は眩し過ぎた。

愛してる、は自己満足。
好き、は行為を求めるもの。

私の口から発する言葉はきっと空に浮いて塵となり、後に残るのは積もった抜け殻。


そんな私に何を受け入れられる?



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