第19章 5月21日 高階家
翌日定時ピッタリに仕事を終えた小夜子は、またまた慌ただしく帰り支度を始めていた。
作業が混んでないこの時期で良かった。
本格的な梅雨時期にでもなれば、また忙しくなるんだろうし。
スマホを手にし、開くと昼過ぎにメッセージを受信していた事に気付いた。
「達ちゃんだ」
何だろう、と思い上着を羽織りながら文字を追う。
二週間後、来月に食事の誘い。
彼氏も一緒に是非どうぞ、と。
どちらにしろ、丁度そろそろ、達郎の店に顔を出したかった所だった。
そして彼氏の設定が、まだ達郎の中では絶賛継続中だった事を思い出した。
それは今は逆に怜治と微妙な関係なのもあり、気が乗らなかった。
まあ、私一人でも全然いいし。
了承した旨を返し、小夜子はエレベーターホールへと向かった。