第18章 5月20日 社内、蕎麦屋
そういえば最近、金子がちょくちょく休みを取っていたことを思い出した。
「何でも欧米に倣えとは思いませんが、海外では普通の事らしいです。 ワークライフバランスっていっても、実質まだまだ日本は遅れてますからね」
理屈はさておき、確かに日頃世話になっている金子の幸せそうな表情を見るのは悪かない、と思う。
「え、金子くん」
「筒井課長」
「きみもこれで一人前になった訳だが、これからも益々精進してくれよ」
「はい」
「総務部もご苦労さま。 にしても、君たちがそうやってると、掃き溜めに鶴ってとこだなあ。 こりゃ第二陣も、もうそろそろか?」
割って入ってきて豪快に笑う筒井課長。
小夜子が事業部長を目をやるといつもの事だ、と言わんばかりに肩を竦めていた。
「では業務中に失礼致しました。 私たちはこれで」
空気が読めない筒井のせいで周りが白けないうちにか、小夜子と今井はその場を退散する事にした様だ。
途中、怜治がいるデスクのブースで小夜子が足を止める。
「武井さん、仕事はどう?」
「皆さんよくして下さいます」
「余力があるんじゃない? あなたなら」
「……? ええ、そうですね」