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あなたが愛してくれたら【R18】

第16章 5月15日 病院


診察室付近に戻ると、奥さん目覚められましたよ、と先程とは別の看護師に声を掛けられた。

そういう風に見られても仕様がない。

否定するのも面倒で、怜治は再び診察室に入っていった。


「ごめんね。 ……迷惑かけて」

「そんな事、気にすんな」


いつもより、弱々しそうな声で謝る紀佳を気遣う。


「こっちこそ、気付いてやれなくてごめん」

「ううん、私のせい。 泰さんには…」

「連絡入れといた。 早く帰るって」

「そうなの」

「しばらく休んで、帰れるって」

「うん、聞こえた。 寝ながら何となくだけど」


紀佳の頭に手をやると、彼女の小さな指先がそれを包んだ。


「ずっと気になってたんだけど、怜治くんが家を出るのは私のせい?」

「……どっちかというと、腹ん中の子供のためかな」

「どうして?」

「でかい子供が家に二人居たらホントの子供が寂しがるだろ?」

「何、それ」


ふふ、と紀佳が笑った。


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