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あなたが愛してくれたら【R18】

第2章 4月5日 高階家


まだ夜は冷える春のはじめ。

もう辺りが暗くなった住宅街の通りは、人気が無いといっても夕げの匂いや風呂のシャンプーだかの香料の香りで賑やかだった。

人の生活の気配がする。


「ただいま」


門を抜け、自宅の重い木戸に手を掛ける。
なにかの香辛料を炒めたような香りが自分を出迎え、そんな周りと大差がない身の境遇に、たまに首を捻りたくなる。


「不用心だからいつも鍵は閉めといた方がいいって言ってんのに」

「だって、怜治くんや、もしかして泰さんも帰ってくる時間なんだから」


薄化粧を施したやや小柄な女が、咎める様な口調に反して優しい表情の目の前の男に、軽い抗議をする。

帰宅をして玄関先で親しげなやり取りをする二人は、傍目から見ると若い新婚夫婦のようだった。


「……怜治くん?」



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