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あなたが愛してくれたら【R18】

第12章 4月27日 会議室、社内


そんな彼が席に戻っていく姿を眺めながら、そういえば二年程前に、彼に告白された事を思い出した。

まさか、あれからずっと?

社内の人間だから婉曲に断った筈だが、それが良くなかったのかも知れない。

頭が良く温和で、多分、結婚でもするのならああいう人がいいのだろう。


『大丈夫?』

『見ないから』


ふいに、小夜子の頭に怜治が浮かんだ。


『ありがと』

『確かに』


律儀で、静かで。


『咥えてよ』


顔が熱くなった。
最初、あんな風に抱かれた嫌悪感を、いつの間に、何処に置いてきたのだろう?


『謝りたくて』

『風邪引く』


熱くて、そして優しい。
彼にはいくつもの、顔がある。

それでも、自分が彼を誘ったのは信頼からだ。
彼は嘘は付かない。
ヘマはしない。

おそらくは大概の場面で。

自分さえしっかりしていれば、間違いなんてもう起こらない。

達郎とは全くタイプが異なるというのに、どことなく似ていた。


あの夏の日の様な、熱と質量。



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