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あなたが愛してくれたら【R18】

第12章 4月27日 会議室、社内


昼休憩が終わり、小夜子のデスクの傍にやって来たのは先程の会議で金子に助け舟を出した人事課の今井。


「湊さん、午前はお疲れ」

「今井さん」


一期上の人間で、金子ほどでは無いが同じ部だけあってそこそこ親交がある。

ミスター何とかは忘れたが、爽やかな男で社内きってのイケメンでもある。


「途中ちょっとヒヤリとしたけどね。 金子さん、不調だったのかな」

「でもあれ、実は………」


小声になった小夜子に今井が顔を寄せた。
その後、彼の口元が緩む。


「なるほどね」

「まあ、気持ちは分かりますけど、ね」

「そりゃ羨ましいね」


苦笑しつつ、今井が隣の空のデスクにもたれかかる。


「今井さんでもそう思います?」

「そりゃもちろん。 ……湊さんは?」


小夜子が眉を寄せて空を見る。
正直あまり、想像できなかった。


「私はそんなのは」


そこで言葉を切る。
今井が真顔でじっとこちらを見詰めていたからだ。

5秒程の妙な沈黙が、二人の間に流れる。


「……考えられないですね」

「そう」


短く刈った髪に、いつも清潔そうな服装。
趣味はテニス、とか言ってたっけ。


「気が変わる事を祈るよ」

「……………」


それ以上会話は深入りする事も無く、当たり障りなく新入職員の様子などを話し合い、今井がもたれていたデスクから体を離した。


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