第12章 4月27日 会議室、社内
「システム管理課の高階です。 簡潔にご説明致します。 ネットワークについては本イントラネットと次期クラウド環境は切り離しておりますが、本件とそれともまた無関係なものです。 とはいえ独自のスタンドアロンを引くのは、システムが猥雑になり本末転倒となります。 ですので、主幹の仰られた通り、互いの干渉を避ける設計を致しました。 セグメントの振り分け、これらをA3一枚用紙にまとめてあります」
「成程。 これなら分かりやすいですね。 けれど、ブロードキャストは使えないはずでは?」
「それも仰る通りです。 それについてはマルチユニキャスティングの手法を使っています」
「ああ、ここにありますね。 GREトンネリングですか。 実績については?」
その後いくつか専門的な質疑が続いた。
彼は先方のシステム担当として一時的に呼ばれた外部の人間なのだろう。
技術的な事柄に対する質問について簡潔に答えるのはなかなか難しい。
相手の技量に合わせた言葉選びもしなければならない。
それらに怜治は冗長に話しすぎる事もなく応対していった。