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想い人

第3章 鍛錬


鬼を連れた隊士がいるという噂は蝶屋敷の私の元へにも伝わってきた

柱合会議へと出かけたしのぶさん
その間私は怪我をした隊士の治療をしていた

「ひぃぃぃ!痛い痛い痛いっ!!!」
「男の子がひぃひぃ言いません!」

さっきから何もしてないのに悲鳴をあげる善逸くん
ちっとも怪我の処置をさせてくれない

「毒にやられてるぶんはしのぶさんが解毒剤を打って押さえてくれたけど、怪我はまだ処置できてないんだから大人しくして」
「ひぃぃ!」
「ね?お願いよ」

私が顔を覗き込むようにお願いするとピタリと泣き止む

「みずきさん、もう泣きません!」
「それでこそ男の子ね!」

ジュワッと消毒液を染み込ませた綿を傷口にくっつければまた「ひぃぃ」と叫びだす善逸くん
痛みに弱い彼はどうやら女性にも弱いらしい

「はい!おしまい!あとは病室でちゃーんと薬を飲んでいてくださいね」
「はい!」

絶対病室戻ったら飲まないな、と思いながらも彼を帰した

「さぁて動けない子のところにも行かないとねぇ」

先日の那田蜘蛛山での任務でたくさんの隊士が運ばれてきた
それから私は任務に出ることなく忙しくしていた

「伊之助くん、調子はどう?」
「...う"ん"」

伊之助くんは喉を強くやられたみたいで上手く喋れないでいた

「はい、あーんってその被り物脱いでくれない?」
「う"ん"」

善逸くんと違って大人しく従ってくれる
でも元気がない様子なのは見てわかる

被り物を取るとすごく整った顔の伊之助くんの素顔が見られた
初めこそそれに驚いたけど今じゃ慣れてしまった

「はい、あーん」
「あ"ー」
「うーん、まだ喉が腫れてる。潰されただけじゃなくて大声も出したって感じね」

診察が終わるとまた被り物を被る

「それいるの?」
「い"る"」
「そぉ」

伊之助くんの診察を終えて隣のベッドに目をやる

炭治郎くんはまだ眠ったままだ
酷く消耗していた

冨岡さんの話によれば十二鬼月の鬼とやりあったらしい
危ないところだったと聞いた

この少年が鬼の妹を連れている

鬼...

憎い存在

胡蝶の両親、カナエさんを殺めた鬼

そんな鬼を連れている少年は一体どんな人物なのだろう
その眠る姿から想像できなかった
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