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想い人

第10章 想う


私たちは穴場を見つけそこで二人だけで花火を見ることにした

「もう少しかな」

わくわくしているとヒューと音と共に大きな花が咲き乱れる

「わぁ...綺麗」

ね、不死川さん!と隣を見ると不死川さんと目が合う
彼はずっと此方を見ていたようだ

「な、なんで私のことみてるんですかっ。花火見ましょうよ」

私はぷいっと顔を背けた
恥ずかしい...

「高重、綺麗だぜ」

なんだかいつもの不死川さんじゃない...

「お世辞なんか言ってもなにも持ってませんよ」
「お世辞じゃねぇよ、本当に思ったんだ」

そんなこと言わないで
花火の音のせいか心臓がドクドクと響く
脈が早くなって頬を染める
よかった今が夜で

私が花火をじっと見ていると不死川さんと手が当たった
そっと握られる

「っ、」
「嫌か?」

私は首を横に振る
嫌じゃない
手を握り返す

重なる掌
煩い心臓

「俺がおまえを守るから」
「私はっ!」

顔を不死川さんにむけると塞がれる唇

「俺が高重の安心して暮らせる世界に変えてやる」

額をつけて不死川さんがそう言った

花火が大きく打ち上がる
その光で見えた不死川さんの顔
不死川さんの力強い眼差し
吸い込まれそうな瞳に目が離せない

「高重...」
「不死川さん」
「実弥でいい」
「えっと...実弥、さん」

不死川さんの顔が近くなる
自然と私は瞼を閉じる
重なる唇
不思議と嫌じゃなかった

「ッッふゥ」

苦しくて息継ぎをするために口を開いた
ぬるりと入ってくる不死川さんの舌

「んぅっ」

熱い

全身が熱くなる
必死に不死川さんの服を握る
不死川さんの手は私の腰に置かれていて固定されている
逃げる事は許されない

「んはぁ...」

暫くして離れる唇
不死川さんの優しい目が私を見つめる

いつの間にか花火は終わってしまいあたりは真っ暗になっていた

「...送る」
「...はい」

小さく返事をした
私の手を握るとゆっくり歩き出した

花火が終わっても心臓が強く打ち付けていた




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