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想い人

第8章 休息


グズグスしてると不死川さんが痺れを切らして私に言ってきた

「おい」

顔を上げた私に不死川さんが笑いかける

「おら泣きやめ」

目元を自身の浴衣で擦り拭ってくれる

「んぅ」
「鼻水も出てんぞ」


ずびっと鼻を啜る

「はぁ見られたものは仕方ありません...諦めます」
「お、おぉ」

その時部屋の襖が開いた
 
「お食事のお時間です」
「まぁ!」

美味しそうな栗ご飯が運ばれてきた 

「不死川さん!美味しそうですねぇ」
「あぁ」

私は興奮して不死川さんの浴衣を握りしめる
布団を畳み端に寄せておく
部屋で食事を楽しむのだ
食事が二人分並ぶ

「不死川さんもここで?」
「悪りぃかよ」
「いいえ」

私たちは迎え合わせで座り食事をする
ホクホクと口の中で甘みが広がる栗
美味しそうに頬張っていると
ふっと笑い声が聞こえる
目の前を見れば不死川さんが口元に丸めた手を当て笑いを堪えていた

「なんですか」
「っいや、おまえめちゃくちゃ美味そうに食うからよぉ」
「だって美味しいですもん」
「そんだけ美味そうに食ってくれるなら作りがいもあるよなぁ」

不死川さんは以前一緒に食事をした時のことを言っているのか優しく目を細める

その仕草にまたドキっとしてしまう

「し、不死川さんも刃こぼれか何かでこちらに来てるんですか?」

話を逸らす

「まぁな」
「私もです」

ということはしばらく一緒にいるということになる
ずっと行動を共にするわけではないがまた一緒に食事ができると少し嬉しかった

「なんだぁ?嬉しそうだな」
「だってまたお食事ご一緒できるんですよ」

にこりと笑うと不死川さんは大きな目をさらに大きくさせた

「そぉかぃ」

そっぽ向いてしまった
何か悪いことでも言っただろうか
首を傾げていると「早く食っちまえぇ」と箸を向けられた





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