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想い人

第8章 休息


食事も終えてあとは寝るだけ
布団再び引いていると押し入れから不死川さんも布団を取り出す

「なにしてるんですか」
「布団ひいてんだよ」
「見ればわかりますよ」
「あー、なんか部屋が足りないらしくて同室らしいぜぇ」
「!!!?」

まさかの同室
部屋が足りないってそんなに隊士が今来ているのか
それなら男隊士を纏めてくれればいいのに
なんたら思っても既に話はついているらしく不死川さんは黙々と布団を引く

私の布団から少し離してもう一枚引いてある
私は無言もう少しと布団を離す

「なにしてんだぁ」
「いや、まだ近いなと思いまして」
「そんなに俺の隣は嫌かよぉ」

声に張りがない
少しショックだったようだ

「未婚の私が殿方と一緒の空間で寝ること自体異常ですので、よし!」

話しながら畳み一畳分くらい隙間を開けた

「それじゃ私は寝ます」
「え、もうかよ」
「やることないんで!」

私はすぐに布団に入ってしまう
数分すれば寝息がたち眠ってしまったことがわかる 
 
不死川はそんなみずきを布団の上に胡座をかいて見つめる

「あいつに似てんなぁ」

ボソッと口にした

みずきの顔立ちは19にしては大人びており鼻筋も通っている
紅もつけていないのに桃色に染まる唇
長いまつ毛が影を作る
亡き彼女を思わせる長い髪

不死川は思い出していた

カナエとの思い出を




『不死川くん傷ができたらちゃんと診せにきて』
『俺に指図するな』

不死川の傷をみたカナエがお節介をやく
それが腹立だしかった

それでもカナエはしつこく不死川へと絡んでくる
時にはおはぎで釣ってきた
不死川は根負けして傷の処置を受けるようになった

カナエは『えらいぞお』と弟を褒めるように言った

そんな彼女に少しずつ心を開いていった不死川

『おまえはなんで剣士になったんだぁ』

不死川はカナエに問うた

『家族を、妹を守るためよ』

彼女のその言葉に自分自身を重ねた

『玄弥が安心して暮らせる世の中にしてやりたい』


カナエの死は不死川にとって深く傷を残した
心を開いた相手が鬼によって殺されたのだ
不死川は泣いた

『俺が全ての鬼を滅殺してやる』


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