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想い人

第1章 あなたを想う


一週間後

やはり不死川さんは来なかった

「...はぁ」

ったく、どーしようもない男だ
私は仕方なく不死川邸へと足を運ぶ

「ごめんくださーい」

大きな声で呼びかける

「いるんでしょー?」

「入りますよー」

返事がないので勝手に上がり込む

「おま、勝手に入ってんじゃねぇ」

今まさに勝手に抜糸しようとしてる奴が何を言うか

「ほーらまた勝手に抜糸しようとしてる!見せてください!」

その腕を強引に掴み傷口を確認する

「うん、ちゃんと傷口は塞がってますね。じゃ抜糸しますよ」
「そんなの自分でできる」
「そうもいきませんよ。どーせ無理矢理糸抜くんでしょ」
「っ、」

ほーら見たもんか
やっぱり勝手にやろうとしてた

「そんなんだから傷が残るんですよ」
「残ることなんか気にしてねぇよ」
「見てるこっちは気になるんです!これ以上傷跡増やさないでくださいよ」

私が丁寧に抜糸をしているその手つきを不死川さんがじっと見ていた

「お節介焼きがぁ」
「なんとでも言ってください」

「ほら、もう終わりました傷跡もあまり目立ちません」
「あぁ」
「何か言うことあるんじゃないですか?」
「っ、アリガトウ」
「そんなにお礼を言うのが嫌ですか」

片言になって嫌そうな顔をする不死川さんに溜息が出る

「じゃご飯でも食べにいきましょうか」
「はぁ?なんで俺がお前と飯食いにいくんだよ」
「お昼時ですし。お腹空きました」
「だぁかぁらっ」
「傷の手当てしてあげましたよ?」
「それはお前が勝手にっ!」
「そーですか、なら冨岡さんでも誘ってきますよ」
「んなんで冨岡なんか誘う必要がある!」
「だって一人は寂しいじゃないですか」
「〜〜っ!わぁったよ!」

冨岡さんの名前を出せば何故か折れてくれるのはもう知っている
私がニコッと笑うと顔を背けてしまった

「お蕎麦食べにいきましょ」
「なんでもいい」

そう言いながらいつもは足の速い不死川さんは私の後ろをとぼとぼと歩いてついてくる
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